料理がおいしくなる! 鉄鍋、鉄フライパンの使い方とお手入れ
鉄鍋や鉄フライパンというと、プロが使う本格的な調理器具のイメージもあるかとおもいますが、ふだんの家庭料理でも使い勝手がよく、とても経済的な調理器具。主婦A子のレシピでも実際に使っており、レシピページにもちょこちょこと登場しています。
面倒そうなお手入れも使ってみるとじつは楽ちん♪ シーズニングやお手入れ、簡単なメンテナンスのコツから、鉄鍋と鉄フライパンで作るおいしい料理、おすすめの鉄フライパンまでをご紹介します。
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鉄鍋と鉄フライパンのメリット、デメリット
■鉄鍋と鉄フライパンは自分で育てる一生モノの調理器具
鉄鍋、鉄フライパンとは、そのまま名前のとおり鉄でできた鍋とフライパン。浅型鍋、深型鍋、フライパンのほか、中華鍋やダッチオーブンもこの仲間になります。
鉄でできている鉄鍋や鉄フライパンのメリットは、まず第一になんといってもその丈夫さ。
普段ご家庭で使われる鍋やフライパンは、アルミやステンレス製、またそれらのフッ素加工(テフロン等)をしたものがおおいかと思いますが、加工が取れて焦げつくようになった、柄が折れたなど、いつかはダメになる消耗品。
鍋やフライパンが焦げつくようになったといっては買いなおしていませんか?
代わって鉄鍋や鉄フライパンはまずこわれるといったことがなく、焦げつくクセがついても修正可能。また、使えば使うほど油がなじみ、焦げつかなくなるといった特徴があります。
こわれることなく使うごとに油がなじみ、焦げつきに強くなる鉄鍋と鉄フライパンは、まさに自分で育てる一生モノの調理器具。また料理がおいしくなる、鉄分補給の助けになるなど、メリットもたくさん。
鉄鍋や鉄フライパンのお手入れは、普通のフライパンのように洗うだけでハイ終わり、とはいきませんが、使いこなせばそんなデメリットなど気にならないぐらいメリットだらけの調理器具です。
■鉄鍋や鉄フライパンは料理がおいしくなる!
鉄鍋や鉄フライパンで料理を作るとおいしい、こんなことを聞いたことがありませんか?
料理研究家として日々レシピを開発し、鉄鍋と鉄フライパンを普段から愛用する筆者もそのとおりだと考えています。
まず鉄の特徴として、火を点けても鍋やフライパンがなかなか熱くなりません。
いきなりデメリットのような特徴になりますが、逆を言えば熱しにくいが冷めにくい"蓄熱性"といったメリットがあるということ。
この特徴により温まるまでは時間が掛かりますが、鉄鍋や鉄フライパン全体の温度が一定に保たれるので、食材を均一に加熱することができます。
蓄熱性により火を止めたあとも時間をかけて冷めていくので、煮込み料理などを煮込んだ際、食材の中心までやわらかく、またゆっくりと冷めることでより旨味が増し、ぐんとおいしい料理に。
一度冷ますとおいしくなるというのは、カレーに例えるとわかりやすいかと思います。鉄鍋ならゆっくりと時間をかけて冷めるので、より旨味のもとであるアミノ酸が増えるということです。
また鉄は高温に強いので、煮込み料理だけでなく炒めものにも◎ 中華鍋で作るチャーハンはもちろん、ちょっとした野菜炒めや肉炒めにも最適。ある程度使っていれば焦げつきの心配もないので、ぱりっとした焼き目を失敗なく短時間でつけることも簡単です。
ほか、普段から鉄鍋や鉄フライパンを使って料理をしていると、普通の鍋やフライパンで作る料理にいまいちひと味足りないと感じることがあります。
これは旨味だけでなく鉄分によるところ。
甘い辛いといった味で表現をするのはむずかしい部分ですが、鉄鍋や鉄フライパンで作る料理は鉄分が増すため、栄養価だけでなく味に深みが出ます。
鉄分のおおい食材を口にすると、鉄くさいような金属くさいような渋みを感じることがありますが、鉄鍋や鉄フライパンで作る料理はごくわずかにこの渋みが加わるため味が複雑になり、料理の味わいに深みが出るということです。
■鉄鍋、鉄フライパン料理の鉄分
鉄鍋や鉄フライパンで料理をすると鉄分が溶出するため、普通の鍋やフライパンで作る料理よりも鉄分をおおく含んだ料理になります。
ただしこの溶出する鉄分量というのはそれほどおおいわけではないので、サプリメントで足りない鉄分を補給するような効果ではなく、ごくごく日常の中でサポート的に摂取できる量と考えてください。
それでも鉄鍋や鉄フライパンから溶出する鉄分というのは、人体に吸収されやすい二価鉄なので、日常的に鉄鍋や鉄フライパンで作る料理を口にしていればしっかりと鉄分補給に。
また酢やトマトといったクエン酸を含む調味料、食材を使うことで鉄分の溶出量が増えるので、調理方法によっては鉄分をよりおおく含んだ料理に仕上がります。
前述のようにサプリメントのような効果まではありませんが、普段日常の中でいただくごはんから多少なりとも鉄分を補えるとなれば、普通の鍋やフライパンよりも、より健康的でおいしい料理を作れるのが鉄鍋、鉄フライパンです。
鉄鍋、鉄フライパンの使い方
鉄鍋や鉄フライパンは、使う前にちょっとだけひと手間が必要。このひと手間を加えることで焦げつきにくく、よりおいしい料理に仕上がります。
■油を入れ、強火で熱してから使う
・鉄鍋、または鉄フライパンに油を入れ、強火で熱する。
・油を鍋肌全体に広げ、煙が出はじめたら火を止める。
・20~30秒ほどそのまま置き、少し冷めてから調理をはじめる。
※煮込むだけの調理では必要ありません。
このひと手間で焦げがこびりついてしまうといった失敗をぐんと軽減できます。
使い込んでしっかりと油がなじんだ鉄鍋や鉄フライパンはもちろん、使いはじめのものはとくにこの工程をおこなってください。
ハンバーグや餃子、チャーハンなどの焼き物、炒めものにはとくに有効。
万が一焦げがこびりついてしまっても、使い込んだ鉄鍋や鉄フライパンならフライ返しでぽろっと焦げが剥がれます。
鉄鍋、鉄フライパンのお手入れ
1.使い終わったら水洗い
鉄鍋や鉄フライパンを使ったら、たわしやスポンジで汚れを洗い流します。
洗剤は要りませんが、油が気になるのであれば使っても問題なし。
"なじんだ油が取れてしまうから洗剤は厳禁"、といったことを聞くこともあるかと思いますが、実際にはそんなことはなく、普通に洗剤で洗っても大丈夫。
使い込んだフライパンなら、簡単に油のコーティングが取れてしまうようなことはないので、それほど神経質になることはありません。
洗いにあると便利なのが亀の子たわし。
中華鍋ではササラを使ったりもしますが、亀の子たわしなら汎用性も高く、他の食器洗いにも使えるので◎
百均の小さなものではなく、ある程度サイズのある亀の子たわしの方が使い勝手がよいのでおすすめです。
2.水洗い後は火にかける
水洗い後はそのまま置くとサビの原因になるので、簡単に火にかけて乾かすようにしましょう。
このお手入れがどうしても面倒そうな印象を与えますが、慣れてしまえばいつものこと。
実際にはまったく気にならず、ついでに菜箸やフライ返し、お玉などを火にかけた鉄鍋や鉄フライパンに入れておくと、同時に乾かすことができるので便利です。
また使い込んで油がなじむまでは、洗って乾かした鉄鍋や鉄フライパンに油を引いておくのがベスト。
ポイントとしては火にかけて乾いたら、熱いうちに油を鍋肌全体になじませること。
これをくり返すことで、焼き目をつけても焦げつかず、買いたてのフッ素加工を施した鍋やフライパンのように、炒めた食材が鍋肌をつるっとすべるような鉄鍋や鉄フライパンに成長します。
購入してからひと月ほどは毎回。2~3ヶ月は3回使ったら油を引くといった頻度で、しっかりと油がなじんだらあとは気が向いた時に。
油がなじんだかどうかは、焦げつきが気にならなくなったら。また焦げついてもぽろっと剥がれるようになったらといったところが目安になりますが、これは使っていればなんとなく分かる部分なので、購入したらあまり神経質にならずガシガシ使っていきましょう。
もしサビが出てしまっても問題なし、たわしでこすり洗いしてから乾かせば使えます。
油を引く際、あると便利なのがたこ焼き用の油引き。
毎回キッチンペーパーを使って油をなじませるのは面倒なので、このたこ焼き用の油引きをキッチンの隅に置いておくとかなり便利です。
鉄鍋や鉄フライパンを火にかけて乾かしたら、ざっとたこ焼き用の油引きでなじませるだけ。面倒だからやらないのではなく、簡単にできるように工夫すると、お手入れもぐんと楽になります。
注意するのは1点。たこ焼き用の油引きは、鉄鍋や鉄フライパンのお手入れだけに使ってください。
本来の用途であるたこ焼きに使ってしまうと塩気がつくので、鉄鍋や鉄フライパンのお手入れではサビの原因になります。
焦げ付いたときのメンテナンス
■焦げつきを焼き切る
鉄鍋や鉄フライパンが焦げついてこびりついてしまった時は、強火で焼き切るというのがいちばん簡単なメンテナンス。
煙が出るまで強火で加熱すると、焦げついた場所が炭化してボソボソと剥がれます。
後は洗い流しながらしっかりとたわしで擦り、表面のざらつきがなくなったら、普段どおり乾かしてから油を引いてください。
それでも焦げつきが落ちないといった場合
■南部鉄器、ダッチオーブンのような厚い鉄鍋、鉄フライパンの場合
金たわしやクレンザーは南部鉄器、ダッチオーブンのような厚い鉄鍋や鉄フライパンの場合はNG! 重曹を使って焦げを落とします。
1.鉄鍋、または鉄フライパンに水と重曹を入れ、10分ほど沸騰させる。
2.火を止め、しっかりと冷めるまで1時間以上置いておく。
3.流水で流しながらたわしで擦り、焦げを落とす。
※重曹の量は水1リットルに対して大さじ2ぐらい。
■表面がつるっとした打ち出し、中華鍋のような鉄鍋、鉄フライパンの場合
ますは上記、重曹を使ってみて下さい。それでも落ちない場合はクレンザーと金たわし、さらにサンドペーパーを使います。
1.クレンザーと金たわしを使って、表面のざらつきがなくなるまで擦る。(落ちない場合は2へ)
2.100番のサンドペーパーを使って焦げを擦り、ある程度取れたら180番のサンドペーパーで仕上げる。
重曹、サンドペーパー共に、焦げを落としたあとはかならずシーズニングをして下さい。(野菜くずを炒める必要はありません)
購入した鉄鍋や鉄フライパンのシーズニング(油ならし)
1.洗剤で洗う
購入した鉄鍋や鉄フライパンは、お湯で洗うだけでは不十分。サビ止めのワックスがコーティングされているので、しっかりと洗剤で洗って下さい。
サビてしまうといった心配は無用。このあと油をなじませれば、まったく問題ありません。
はじめて使う時は心配もあるかと思いますが、鉄鍋や鉄フライパンはものすごく丈夫。万が一サビてしまっても、たわしでこすり洗いすれば、簡単に落とせます。
2.空焚きする
洗った鉄鍋、または鉄フライパンを強火にかけ、煙が出るまで加熱します。
もうもうと煙が出てきたら一度火を止め、手でふれることができるぐらいまで冷まし、再度洗剤で洗って下さい。
3.香味野菜を炒める
再度洗った鉄鍋、または鉄フライパンを中火にかけ、おおめのサラダ油を入れて鍋肌全体になじませます。
長ネギや玉ねぎ、にんにく、生姜など、香りの強い野菜を入れてかきまぜながら3~4分炒め、野菜を取り出してそのまま冷ましたらシーズニング(油ならし)の完成です。
シーズニングが終わっても、はじめて使う時は鉄くささが残っていることがあります。においが気になるといった方は、このシーズニングの工程をもう一度くり返して下さい。
ダッチオーブンなどはサビ止めのワックスが強いので、洗って油をなじませるまでを2~3回くり返し、最後に香味野菜を炒めます。
とりあえず使ってみよう! おすすめの鉄フライパン
鉄鍋や鉄フライパンは種類も多く、サイズもまちまち。
どれを選べばよいのか迷うこともおおいかと思いますが、とりあえずこの2つがあればOK。主婦A子のレシピで実際に使っている、おすすめの鉄フライパンです。
南部鉄器といえば岩鋳! 鍋の代わりにもなる蓋付フライパン
やや深型の蓋付きフライパンなので、ちょっとした煮込み料理にも◎
主婦A子のレシピでは簡単な炒めものはもちろん、餃子やこんにゃくステーキなどしっかりと焼き目を付ける料理のほか、ロールキャベツやミートボールのトマト煮込みなど、ちょっとした煮込み料理にも使っています。
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ちょっとした炒め物にも最適! 使い勝手のよい岩鋳オムレット
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本体オムレツを作る鉄フライパンですが、いえいえそれだけではありません。
目玉焼きからスクランブルエッグ、ちょっとした炒め物や焼き物、玉子丼や他人丼などの卵とじにも◎
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「料理がおいしくなる! 鉄鍋、鉄フライパンの使い方とお手入れ」、主婦A子のレシピでふだんから使っている、鉄鍋と鉄フライパンの記事です。
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